植物の途中 – A Secret Life
2026.2.25(wed) - 2.28(sat),   3.4(wed) - 3.7(sat)
13:00-18:00 open


猪飼牧子|Makiko Ikai
シャーマン・フライシャー|Sherman Fleischer
根本真路|Shinji Nemoto
西村有未|Yumi Nishimura
谭锦宁|Tan Jinning
塩川梨花|Rika Shiokawa
保井智貴|Tomotaka Yasui
植物はいつも、移ろいの中にいる。
芽吹き、茂り、枯れ、また芽吹く。
そのどの瞬間も「途中」であり、「完成」という言葉はない。
私たちの生もまた、終わりのない変化の途中にある。
今回参加する7名の作家たちは、植物の“裏側”──
目には見えない呼吸や、根の奥に流れる時間──を手がかりに、
社会の営みの中では見えにくい、自らの視線や思考の揺らぎに触れている。
彼らのまなざしは、目に見えぬ根や空気のように、
静かに、私たちの時間を照らし出す。

Plants in the Midst – A Secret Life
Plants are always in a state of becoming.
They bud, flourish, wither, and return again—
each moment suspended in the midst, never reaching a final form.
There is no true “completion,”
only an ongoing transformation that mirrors the course of our own lives.
The seven participating artists turn their attention to the hidden life of plants—
the breaths that cannot be seen,
the quiet time flowing deep within their roots.
Through these unseen rhythms,
they encounter subtle tremors in their own ways of seeing,
shifts in thought and perception that often slip beneath the surface of daily life.
Like roots extending into unseen soil,
or the faint air that stirs between leaves,
their gazes gently illuminate
the quiet intervals of the time we inhabit.

イベント|2.28 (sat) 13:00~ 20:00
彫刻家の家カウンターバーにて「氣分喫茶&YASUMAN BAR」
ヨロッコビール、ワイン、紅茶、コーヒー、など
ワークショップ|3.1(sun)   
猪飼牧子「息のかたち-植物蒸留会」 
午前の部|10:30-12:30 受付終了  午後の部|14:00-16:00 
会場:へちま文庫
761-8077 香川県高松市出作町158
展示「植物の途中」にあわせて、
黒文字を使った蒸留ワークショップを開催します。

黒文字の枝葉を蒸留し、
蒸留とはなにか?を理解した後に、
ご自宅でも実践できるお鍋蒸留にも触れてみます。

そして、
黒文字精油と、抽出された芳香蒸留水で
黒文字のフェイスクリームをつくります。


展示会場の作品では
色をつけた糸やワイヤーなどが、
植物体の内部で作り出した成分、またはそのはたらきの印としてそえられています。

ワークショップでは、
黒文字を蒸留する過程を眺めながら、
それらの印が示しているものが、
蒸留の中でどのように現れてくるのかを、展示と重ねて見ていきます。

展示と行き来するような、
呼応する時間になるはずです。

香りが立ち上がり、かたちを変え、
また新たな形になる。

植物の「息」に、
少し近づくひとときです。


【ワークショップ詳細】
内容・特典
◯ お茶とお菓子つき
◯ 黒文字蒸留水15ml、蒸留水でおつくりになったクリーム20ml、WSで使用する、蒸留に使える耐熱ガラス容器をお持ち帰りいただけます。
◯ お申し込み方法
下記内容を明記のうえ、本ページのcontactまたはinfo@ienoie.infoにてお申し込みください。
・午前/午後 いずれかのご希望
・お名前
・お申し込み人数
・代表者様の電話番号
・代表者様のメールアドレス
◯ 参加費 ¥6600 (当日現金でお支払いください。)
※ キャンセルの場合4日前まで、お願いしております。
それ以降の場合、半額のキャンセル料、当日は全額かかりますことをご了承くださいませ。
猪飼牧子|Makiko Ikai
植物の先 そしてその先

2025年
根、枝、樹皮、糸、ワイヤー、絹、etc

植物の生体の中には、私たちの目には見えないけれど、確かに存在し、働いている成分がある。
本作では、植物の体内でつくられる成分やそのはたらきを、色をつけた糸やワイヤーを用いて可視化した。
目の前にある植物は、一見変わらぬ姿のようで、内部ではめまぐるしい変化を続けている。
完成した姿ではなく、植物の内部で常に起きている過程そのものに目を向けるための作品です。
シャーマン フライシャー|Sherman FLEISCHER
Conclusions Are Consolations

2026年
Pigment Ink on Washi
210 x 297
束の間の呼応は、ほんの一瞬しか続かない。人のまなざしのために整えられた切り花は、すでに萎れはじめている。一粒の種は森の地面に落ち、芽吹くかもしれない。竹林には、ひとときだけ道がひらかれる。何世紀にもわたる重なりもまた、同じように儚い。石仏を抱くように育った木も、彫りが風化しきる前に、やがて別の木へと置き換わるだろう。
本作は、共存する時間の層に目を向ける。枯葉は新たな芽を包み、打ち捨てられた枝は、しばし人の視線のもとに置かれる。安定しているように見えるものも、確かなものではない。生成と衰退、刻み込みと包摂、使用と放置、まなざしと無関心が、同じかたちの中に併存している。
人の介入もまた、これらの過程の外部にあるのではなく、その一部となる。写真は一瞬を切り取るが、それぞれの像は移ろいのただ中にある物質をとどめている。固定されたものはない。あらゆるかたちは、ただしばらくのあいだ存在するにすぎない。
根本真路|Shinji Nemoto
いつかの花鳥風月「焚き火」

2026年
再生上質紙
405 × 720 mm

日常の中で出会う自然の美しさを、スマートフォンで記録している。普段の仕事では、そこで感じた美しさを凝縮し、グラフィックデザインへと昇華させていく。本作は、その変換の途上にある瞬間を切り取った試みである。「自然」と「デザイン」の途中、まだ輪郭を持たない状態をそのまま提示した。判型はスマートフォンの画面比率に合わせ、視線の枠組みごと作品化している。
西村有未|Yumi Nishimura
犬石(経年)3 | Dog Stone(Over Time)3

2025年
100×100cm
パネルの上に油彩とオイルバー|oil and oil bar on panel

多くの植物は、命が短いものも長いものも、つねに移ろいの途中にある。その姿と変化が鮮やかなため、私はつい「時間」や「過程」について意識してしまう。この感覚を手がかりに、油彩画と今回の出品作について、少し語ってみたい。
魅力的に感じていたレンブラントの色彩。これが制作当時と異なることを知ったのは、15年以上前のことだ。油彩画は経年変化し、稀に修復されながら今へと届く「動き続ける物質」である。さらに、厚塗りの油絵具が乾ききるには、年単位の時間を要する。若木から老木へと変わる肌理のように、表面へ時間が沈着していく様を発見することは、私にとっての喜びでもある。
他方で、展示作品の一つ「由紀子の仕事に連なって」シリーズには、生けられた植物のような儚さがある。これは、冷蔵庫に残る腐った食材や枯れかけの花など、日常の不要物で即興的に卓上へ“絵”を作り、その日のうちにサヨナラするルールのもと作られた。手際の感覚は、母がありあわせで夕食を仕立てた記憶に由来する。結果として、物体としての作品は残らず、写真という記録だけが手元に留まる。そこにあるのは、一瞬の生成と別れによる循環の痕跡だ。
谭锦宁|Tan Jinning
分裂
2023年
ガラス、真鍮

私はガラスと植物を組み合わせて制作することが多いです。
植物の成長や枯れにはある流れがありますが、その中にはまわりの影響や偶然による変化も刻まれています。
一見ささいに思える変化の中にも、気づかれないまま積み重なった時間や情報が含まれていて、人がつくったものとは違う密度があるように感じています。
そして、ガラスは記憶を持つ素材です。
自分自身の変化をとどめるだけでなく、他の存在に刻まれた痕跡や時間を映し出し、記憶として残すことができます。
植物とガラスを組み合わせることで、意図することと委ねることのあいだに生まれる状態や、そこに流れる時間をそのまま留めようとしています。
本展では、そうした時間や痕跡にふと目を留めてもらえたらと思います。
塩川梨花|Rika Shiokawa
適等

2026年
鉄、ツールボックス


私にとっての植物の途中。今回の作品「逍遙-適等」は朽ちた道具箱を器に植物の侵食を人工的に表現した様子。よくモチーフに使う廃墟、建物を器に人工物が植物に侵食されていく様子と共通性を持たせている。また、植木も鉢を器に人に育てられた植物であり人工的要素を感じる。
この3つの共通性を重ね合わせ、人工的に作られた植物=人の手がなければ作られない植物=植物の途中として表現している。
保井智貴|Tomotaka Yasui
彫刻家の庭
2023年
庭、茶室

田んぼに囲まれていた彫刻家の家の周囲の風景は、2020年の夏頃から変化し始めました。
田は宅地へと姿を変え、動植物の棲み処は人の住まいへと置き換わり、鳥や蛙の声は生活の物音へと移っていきました。
私はその変化を単に受け入れるのではなく、家と住宅地のあいだにひとつの層を挿入することを試みました。庭にパレットで小さな茶室を組み、木々を植えることで、内と外、自然と生活環境のあいだに緩やかな移行の領域をつくります。
ここでは建物や庭は対象ではなく、風景の関係性そのものを扱う素材となります。
彫刻家の家から周囲の住宅へと連なるあいだに生じるグラデーションを通して、季節の変化や環境の移ろいを経験する場を立ち上げようとしています。