谷崎桃子 Momoko Tanizaki
宮川慶子 Keiko Miyagawa
保井智貴 Tomotaka Yasui
あるとき 「彫刻家の家」の周りが宅地開発によって田んぼがなくなり、まるで違うまちに帰ってきたみたいだった。
まちの空気はいつかは変わってしまうだろうと思いながら、家を彫刻に見立て、まちの空気を捉えるプロジェクト「まちにある家という彫刻」を行ってきた。折に触れ展示やイベントを行い、徐々に変化していく風景を映像作品として記録してきたが、想像より早くその時が来てしまった。それは一瞬の出来事のようだった。讃岐平野の独特の山々を背景に、美しかった田んぼの風景が残像として残る中、次にできることを考えようにも、コロナ禍も終息せず、ただ傍観しているように時間だけが過ぎていく。悶々とまちやプロジェクトの今後について考えながら、まちの空気の一部を捉えようとドローイングをしていた時、プロジェクトをはじめるきっかけとなった出来事と、同時期に出会った若いペインターたちのことを思い出す。
気づけばあれから10年が経ち、当時はまだ20代前半の若い作家たちも、今はそれぞれの暮らしの中で、自身の世界観を模索し作品に昇華しようとしてきた。また当時は想像ができなかったくらい、彼ら自身が作品であるかのよう見えるのだから面白い。しかし、そんな彼らが作品にするまでに、どのような思考を重ねドローイングを描いてきたのか、あまりみたことがない。ドローイングとは、まだ見ぬ自身の可能性を掴もうとする行為でもある。彼らはこのまちに何の縁も所縁もなく、描いてきたドローイングもこのまちとはまったく関係がないが、彼らも同じ時間の中で、日々の現実を受け入れ、時には抗い変化してきたことには変わりない。その掴もうとする行為と変わっていくまちの風景とを重ね、更に10年が経った時、何を感じるのか展覧会として記録しておきたい。
彼らには、作品にする(考察する)ために描いたドローイングやスケッチだけでなく、何気なく無意識に描いてしまった、描いたがそのまま忘れられ、何処かに眠ってしまったドローイングやスケッチを引っ張り出し選んでもらった。紙や布の面性と質感、そこに瞬時に置かれた墨や色からなる空間は、完成度の高い絵画や彫刻とは異なる魅力とリアリティがあり、未完成で不調和であるからこそ愛おしい。私は彼らのドローイングやスケッチから見えるもの、見えないものたちとの対話から、互いの意識の交わりを探るように、「彫刻家の家」の内と外の関係の中で「覗く」という体感的な行為を設定する。快楽や苦悩の瞬間、制作の裏側など、彼らがあまり見せることのない思考の痕跡から、このまちと彼らのまだ見ぬ世界を重ね合わせ想像する。
眠れるドローイングを覗く
まちにある家という彫刻
彫刻家/保井智貴
2022. 3. 23 wed. - 3.27 sun.
14:00 - 19:00
23, 24, 25 fri は予約制となっています。
メールにてご予約を受け付けています。 info@ienoie.info
2022. 2. 21 mon. - 3.27 sun.
日中の陽の光にて「彫刻家の家」の縁側で、
一部のドローイングを窓越しに覗きながらご覧いただけます。
家の東側の通路から、南側お庭へお回りください。
2022. 3. 31 thu.
17:00 - 24:00
「感覚線」
巡回展
高知県佐川町の古書店「貉藻」のイベント「感覚線」にて展示します。
貉藻
789-1201 高知県高岡郡佐川町甲1319-7
お問合せ:貉藻(むじなも)のInstagramをご利用ください。
会場構成協力|アンチポエム 協力|仏生山温泉、へちま文庫、貉藻
○アクセス
JR高松駅から
電車/ことでん高松築港駅→仏生山駅(約17分)→徒歩15分
タクシー/タクシー約25分
高松空港から
バス/空港リムジンバス→空港通り一宮下車(約15分)
→ことでん空港通り駅→徒歩25分
タクシー/タクシー約20分
お車でお越しの場合
高松中央インターから約15分
高松西インターから約15分
彫刻家の家近辺の道路は大変狭くなっているため、お車の大き
さに寄っては仏生山温泉に駐車していただく場合がございます。
仏生山温泉駐車場→徒歩10分
場所
香川県高松市多肥上町2140-3
メール/info@ienoie.info
彫刻家の家
設計:螺鈿こんぶ
写真:山本康平
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「彫刻家の家」は家を彫刻に見立てることで、まちに漂う空気を捉えるための「まちにある家という彫刻」という
プロジェクトです。
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讃岐平野の山々と田んぼを背景に築40年をすぎた小さな家屋。
その家が佇むまちの風景を彫刻に見立てました。
「彫刻家の家」を中心にまちを歩いていると、
何げない風景や出来事が見えてきます。
まちに漂う空気のうつりかわりを体感することで、
暮らしについて考える場となればと思います。
まちにある家という彫刻
作者:保井智貴
高松コンテンポラリーアート・アニュアルvol.09
時どきどき想像
主催:高松市美術館
ワークショップ
保井智貴のオルタナティブスペース「彫刻家の家」を背景に、時とともに少しずつ変わっていく「彫刻」を写真に撮って、町の移り変わりを感じよう!最後にみんなで集めた「彫刻」を編集し、上映会をします。
日時:二〇二〇年十一月二十一(土)
講師:保井智貴 会場:高松市仏生山町近辺 定員:八名(要申込)
対象:中学生一年生以上
受講料:五百円(昼食代別途)
持参物:カメラ(スマートフォン、デジタルカメラなどパソコンにデータを送付できるもの)
申込:電話にて受付(087-823-1711) 二〇二〇年十一月三日(火)八時半~
「TOYTOYTOY」
会場:高松市仏生山町四五五ー二 観覧料:無料
申込:メールにて info@toytoytoy.jp
高松市美術館連携企画「まちにある家という彫刻」
町全体が「展示空間」、そこにある建物や自然が「彫刻」だとしたら。高松市仏生山町近辺にある、保井智貴のオルタナティブスペース「彫刻家の家」を背景に、町の移り変わりを感じるプロジェクトを開催します。
特別展示 「彫刻家の家」
高松市仏生山町近辺にある二会場で保井智貴の作品を鑑賞できます。
日時:会期中(二〇二〇年十月三十一日~十二月十三日)の土曜日(ただし、十月三十一日を除く)
十一月三日(火)二十日(金)・二十二日(日)
十二月十一日(金)・十三日(日)
各日十三時~十五時 観覧料:無料
へちま文庫と彫刻家の家 二箇所開催
会期:一〇月六日(土)ー一一月四日(日) 二〇一八年
作家在廊日:一〇月 六日、七日、二〇日、二一日、二二日
「ほしの なかに」
会場:へちま文庫
二〇一五年以来となる、へちま文庫での個展「ほしの なかに」は、赤いワニと黄いろのクマの二頭による星をめぐる物語がテーマです。
二頭は星を眺めたり、触ったりしているうちに星の中へと続く光をみつけます。
「ほしの おなかの なか」 会場:彫刻家の家
光をたどって歩いてきた
赤いワニと黄色いクマが辿
りついたは、なんと、ほし
のおなかの中でした。ほし
のおなかの中はどんな景色
が広がっているのでしょう。二頭はどう
二頭はどうなってしまうの
でしょう。なってしまうのでしょう。
ほしの なかに
ほしの おなかの なか
しもだいら あきのり
木製の風呂に入りました。湯に浸かってほどなくすると、湯と肌の質が近づいたのか、木のバスタブの方へ自分の肌が吸い付くような感覚に包まれました。そして、湯が肌の温度に近づくと、今度は、体が湯の中へ溶けだしたような感じがました。「あれ、ここはどこだろう?」と、少しだけ、知らない場所にでかけたような、または、よく知っている場所に帰ったような気持ちになりました。
さて、その感覚は、風呂場を離れたあとも、私の内に存在し続けました。そうして、感覚は育ち、私の頭の中には一つの光景が浮かぶようになりました。今回の展示では、その、私の頭の中に浮かんだ景色を、光と影を使った方法で描きました。滞在されると、お風呂に浸かりながら作品をご鑑賞いただけます。
へちま文庫と連動したこの展示は、「彫刻家の家」と名づけられた、高松市内に建つ築四〇数年の一件家で開催します。
一年ほど前、私はこの家に滞在し、ここに備え付けられた
滞在式作品鑑賞 (予約制)
「ほしの おなかの なか」は彫刻家の家に滞在し、胎内のような浴室の空間に包まれ、高野槙の木風呂に入って鑑賞する作品です。
ほしの おなかの なか 彫刻家の家
この家が彫刻として佇むことで、まちに流れる静かな空気を感じながら、まちの風景を背にした暮らし、について考えるきっかけになればと思います。
トークイベント:三月一〇日(土)
十九時ー二十時半
岡昇平(温泉番台・建築家)
松村良平(家具職人)
保井智貴(美術家・彫刻家)
アフターパーティー
パニ×へちま×彫刻による
カレーをお出しします。
参加費:1,500円
協力:MA2Gallery、へちま文庫、
仏生山温泉
撮影:山本康平
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二〇一八年三月八日(木)ー二一日(木)
松村亮平 保井智貴
まちにある家という彫刻。
そして空間のための家具。
讃岐平野の山々と田んぼを背景に築40年をすぎた小さな家屋。
その家が佇むまちの風景を彫刻に見立てました。
本展は、螺鈿こんぶによって改装した空間で、家具職人の松村亮平がアンチポエムと田中風呂製作所の家具を、彫刻家の保井智貴が「彫刻家の家」の公開とあわせて、塑像やドローイング等を展示します。
松村亮平の家具は、明確な構造体と物質性、家具どうしの距離感から体感的な反復性を意識させ、洗練された美しい空間を創造します。保井智貴は人物像における静謐な空間性について模索してきた彫刻家です。「彫刻家の家」では、自身の彫刻感を、松村の家具を重力と空間の起点とし、まちの風景と家の関係性と空間性の中で、家の彫刻化を試み、まちの空気感について考察します。